普段私たちは、自分に見えている世界がすべてだと思いがちですが、無意識に多くの情報を「選択・省略・編集」しながら過ごしています。もしかすると、そこには見落とされた出来事が無数にあるかもしれません。溢れる情報や変化の中を生きる私たちは、日常の中に〈習慣〉をつくることで、効率と安定を手にしています。
一方で習慣は、目の前の事象について過去の似た経験を当てはめて微細な違いを省略してしまう場合もあります。心地よく過ごすために必要な習慣に囲まれると同時に、「代わり映えしない」という漠然とした虚無感に苛まれることはないでしょうか。
本企画は、五感を使って今起こっている事象と丁寧に向き合う方法を学び・体験・共有することで、見落とされた無数の日常の出来事を味わい直すセミナー・ワークショップ・シリーズです。「代わり映えしない」と感じていた日常を研究者やアーティストとともに再構築することを目指します。
これまで、vol.1《音と身体》、vol.2《匂い》、vol.3《音風景》、vol.4《バランス》、vol.5《味覚》をテーマに開催してきました。今回は、私たちが8割以上の情報を得ると言われる《視覚》にフォーカスします。そもそも「見る」とはどういうことなのか、経験や習慣がどう関わるのか、専門家と共に学び体験します。本企画を通して、いつも同じように感じていた日常が初々しく生まれ変わり、あなたと再会を果たすこととなれば幸いです。
プロフィール
鈴木康広
Photo: Timothée Lambrecqアーティスト。武蔵野美術大学教授。誰しもが持っている記憶や経験に新鮮な切り口を与える作品制作や、身近な工業製品を媒介に、人間と自然を新たな視点から接続するアートワークを展開。主な個展に「近所の地球」(水戸芸術館/2014)、「始まりの庭」(箱根彫刻の森美術館/2017)など。2016 年ロンドン・デザイン・ビエンナーレでは日本代表として展示を行った。2014年毎日デザイン賞受賞。総合指導を務めるNHK Eテレ「みたてるふぉーぜ#1」で「ニューヨーク・フェスティバル」エンターテイメント番組子ども・青少年部門金賞受賞。
三澤遥
日本デザインセンター三澤デザイン研究室室長。武蔵野美術大学准教授。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。主な仕事に、かつてない紙の可能性を探求した「動紙」、国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」、第25回亀倉雄策賞受賞記念展「Just by | だけ しかたった」、大丸松坂屋百貨店の新たなシンボル「百様図」と新包装がある。
福尾匠
批評家、哲学者。博士(学術)。著書に『置き配的』(講談社)、『非美学:ジル・ドゥルーズの言葉と物』(河出書房新社、紀伊國屋じんぶん大賞2025 受賞)、『ひとごと:クリティカル・エッセイズ』(河出書房新社)、『眼がスクリーンになるとき:ゼロから読むドゥルーズ「シネマ」』(河出文庫)がある。共訳書にアンヌ・ソヴァニャルグ『ドゥルーズと芸術』(月曜社)。哲学の店 フィロショピー店主。置き配写真館館長。



