日本文化には、環境に優しい知恵がたくさんあります。日本人には古来、四季の移ろいを感じ、生活に取り入れ、自然と共存して暮らしてきました。ただ生活するためだけではなく、見た目の美しさ、人や周辺環境の調和などの、様々な要素の融合~物事への「配慮」が、「もてなしのこころ」として現在に伝承されています。

 

当講座は、日本伝統文化から「用と美と環境のバランス」を学んでいただき、これからの私たちが選択すべきライフスタイルを考えるきっかけとなればと思います。

 

進行:アシハラヒロコ(インテリア・アーキテクト)

 

第1回 6・14(土) 茶道 「五感におもてなし」
【講師】遠州茶道宗家・執事長 安藤宗良(あんどう そうりょう)
一服のお茶をお出しする。そこに至るまでのあらゆるシチュエーションを想定して心を尽くす、それが「もてなしの心」の真髄ではないでしょうか。五感が充分に満たされた時に出る笑顔・・そんな「おもてなし」のポイントをお話しいただきます。

 

第2回 6・21(土) 礼法 「礼と失礼」
【講師】小笠原礼法・総師範 柴崎直人(しばさきなおと)
ものを大切にし、人を思いやり、礼を尽くす。堅苦しく感じることでも、すでに何気なく実践しているものです。しかし「礼」を尽くしたつもりが、実は「失礼」なんてことは?基本の決まりごとを理解するだけで、コミュニケーション力がグッとアップします。是非参考にしてください。

 

第3回 6・28(土) 食・器 「“旬”を食す」
【講師】「辻留」三代目主人 辻義一(つじよしかず)
「食」は身体を作る源です。日本の四季には、それぞれ“旬”の食材があり、その食材には意味合いがあるもの。食を通して食育も改めて考えてみてはいかがでしょうか?また、料理と器の相性についてもお話しいただきます。

 

第4回 7・5(土) 伝統芸能 「見立ての妙技、能」
【講師】観世流能役者 味方玄(みかたしずか)
馴染みの少ない「能」ですが、内容はとても有名な物語が多いことをご存知ですか?
源氏物語、平家物語・・素敵な恋のお話しに喜劇や悲劇も。実はとても親しみの持てるものなのです。また、昔ながらの能舞台から大きな会場での新たな試みなど、最新事情も併せて能の楽しみ方をご紹介します。

 

第5回 7・12(土) 庭園 「時と共に熟成される庭」
【講師】龍居庭園研究所・所長 龍居竹之介(たつい たけのすけ)
自然の力の偉大さを痛感する庭園。四季の移ろいと共に熟成される庭を見つづけて来た氏による解説です。有名庭園の実情や庭園散策の楽しみ方もお話しいただきます。環境に配慮した緑化へのアドバイスも必見です。

 

【対象】一般
【参加費】各回1000円
【定員】各回先着50名


<プロフィール>

■インテリアアーキテクト アシハラヒロコ
東京生まれ。日本女子大学住居学科卒。2003年アシハラヒロコデザイン事務所設立。建築設計、デザイン、コーディネーションに至るまでのトータリティを手がける日本では数少ないデザイナー。個人邸・集合住宅(コンセプト、外観・共有部・専有部・造園等)。また、京都室町・紫野和久傳、玄冶店濱田屋東京ミッドタウン店の店舗デザインでも話題になる。

 

■遠州茶道宗家執事長 安藤宗良(あんどうそうりょう)
1943年東京生まれ。武蔵大学経済学部卒。1966年遠州茶道宗家に務める。
遠州茶道宗家12世小堀宗慶宗匠(当時家元)の最初の秘書となり、国内外での活動を助ける。現在は、遠州茶道宗家13世 小堀宗実家元と宗慶宗匠に仕える傍ら、各所で講演活動をし、広く茶道の普及に尽くす。 

 

■小笠原礼法総師範 柴崎直人(しばざきなおと)
1966年生まれ。学習院大学文学部心理学科卒。筑波大学大学院教育研究科修士課程カウンセリング専攻終了。マナー・エチケット・礼法の専門家として、中学・高校・大学の教育や社会教育、生涯学習に深く携わる。現在、小笠原流礼法総師範。学礼会マナー教育研究所主宰。マナー教育の体系樹立に向けて研究活動中のほか、執筆・講演・テレビ出演多数。

 

■「辻留」三代目主人 辻義一(つじよしかず)           
1933年京都生まれ。祖父・辻留次郎氏、父・辻嘉一氏と、明治時代から三代に渡ってその味が伝えられている、懐石料理に老舗「辻留」三代目主人。二十歳のとき、芸術家であり料理人でもあった、故北大路魯山人氏のもとで修行、味の追究と料理人の心を学ぶ。現在は辻留料理塾、大坂青山短期大学講師も務める。

 

■観世流能役者 味方玄(みかたしずか)
1966年京都市にて能楽師・味方健氏の長男として生まれる。幼少より父の手ほどきを受け、1986年片山九郎右衛門師(人間国宝)に内弟子入門。1991年独立。2004年「京都府文化賞奨励賞」受賞ほか、受賞多数。多くの方に「能」の魅力をアピールするため、親しみ易い企画を目指し、様々な状況での「能」を作り出す「テアトル・ノウ」を主宰。