「眠らない街」はいつしか、「眠れない街」となっていました。ネオンがきらめき街灯がともる都心には、暗い夜道はありません。テレビが何も映さない時間は、もうほとんどありません。朝も昼も夜もなく、人々は24時間交代で働いています。そして、いつでも・どこでも・地球の反対側の人とでもつながることができるインターネットによって、私たちの時間や空間の概念は大きく変化しています。
もともと「眠り」の起源というのは、明るい昼/暗い夜という環境変化がある地球上で暮らす生命が、不得意なほうの時間帯を休息に充てたというのが始まりのようです。まさに「昼も夜もない」現代社会で、眠れない人が増えているというのは、当たり前のことなのかもしれません。しかし、そのようにライフスタイルが多様化した現在、「生き方」ほどに「眠り方」は変化したでしょうか? 眠りのスタイルはまだまだ、工夫したり楽しんだりする可能性を秘めている気がします。
「I’m so sleepy」展は、わたしたちひとりひとりが眠りを見つめ、感じ・考え・ねむる展覧会です。寝床がいろいろありまして、本当にどうにも眠くなってしまうような会場では、もしも寝ちゃっても起こしません(閉館までは…)。展覧会最終日の3月18日には、定められたばかりの「睡眠の日」を迎えます。
動物たちが冬眠から目覚めても、人間が春眠暁を覚えないこの時期に、眠りへの誘いの展覧会です。
■メイン会場(4階ワークショップルーム)
ヒトがもともと持っている眠りのリズムのこと、世界の「ねどこ」体験展示、夢のおはなし。そして私たちに日々の眠りを考えます。
■「生きものたちの眠り」展(3階生活工房ギャラリー)
木に登ったり、寝袋を作ったり、体の色を変化させたり。安らかに眠るため、あれこれ工夫をこらす生きものたちの姿をご紹介します。
文:さくまひろこ 絵:たけむらまゆこ