リソグラフ印刷とは、学校や児童館などのおたよりで使用され、馴染みのある印刷方法です。アナログでどこか懐かしい印象を受けますが、その独特な風合いやインクの重なりから生まれる表現が、近年再び注目を集めています。
その印刷機を製造しているのは、1946年に世田谷区で謄写(ガリ版)印刷業として創業した「理想科学工業株式会社」。リソグラフは、その原型が世田谷でうまれたデジタル印刷機なのです。
一枚の版に対して一色で印刷するのがリソグラフ印刷。行程は「色選び」「図柄デザイン」「印刷」の3つに分かれています。今回のワークショップでは2色印刷にチャレンジ。色の重なりやトーンを想像しながら、2色・2版分の原稿を制作しました。
図柄デザインの工程では、ペン・クレヨンから新聞紙やスタンプまで、様々な材料と道具を使用しました。画材やその使い方によって印刷の仕上がりが異なるため、みなさんが創意工夫を凝らして制作している様子が印象的でした。またなかには、思い出の写真や旅先でのスケッチなど持参の素材を使うことで、素敵なメモリアルカードに仕上げている方もいらっしゃいました。それぞれのこだわりや大切にしているものが伝わってきます。
また、今回はお子さんが多いワークショップでしたが、見学されていた保護者の方も、お子さんが夢中になって作る様子を見て、一緒に作業をしたり、子どもの柔軟な発想に驚いたりと、和気藹々とした雰囲気でした。
出来上がった原稿を一色ごとに「製版」して、いよいよ印刷に入ります。印刷物ができあがる瞬間は、みなさんドキドキの様子でした。
そして、色々な表情を見せてくれるのがリソグラフ印刷の面白いところです。印刷物をみた参加者からは、「思っていたより綺麗にできた!」「図柄の重なりが面白い。」などの声が届きました。
今回のワークショップでは、ポストカードを制作するとともに、リソグラフ印刷のしくみや歴史についても知ることができました。リソグラフ印刷という身近な存在に気づき、新鮮な知見と、素敵な思い出の品が得られたのではないでしょうか。