2017年11月11日(土)―12月10日(日)開催の、『ミャオ族の刺繍と暮らし展』。
実はこの展覧会の始まる時期は、ミャオ族の暦で新年を迎えるころ。ミャオ族の村々では、稲刈りの終わったところから、お正月の準備をします。
4階では、そんなミャオ族の一年を紹介しながら、苗族刺繍博物館(常滑市)からお借りした美しい衣装を展示しています。
中国・貴州省の山岳地帯に多く暮らすミャオ族。
その民族衣装と暮らしを紹介している展覧会も、1か月にわたる会期の閉幕が近づいてきました。
展覧会の模様をお伝えします。
2017年11月11日(土)―12月10日(日)開催の、『ミャオ族の刺繍と暮らし展』。
実はこの展覧会の始まる時期は、ミャオ族の暦で新年を迎えるころ。ミャオ族の村々では、稲刈りの終わったところから、お正月の準備をします。
4階では、そんなミャオ族の一年を紹介しながら、苗族刺繍博物館(常滑市)からお借りした美しい衣装を展示しています。
「もし、農閑期に苗族の村落を訪れると、夏の日の緑陰の下、玄関の前、冬の日の焚火のそば、どこにでも娘たちが三々五々かたまって、懸命に刺繍する姿が見かけられる。彼女たちは山腹で野良仕事をしている時でも、一枚の布を懐中にしのばせて、片時の休みにさえ、取りだして、ひと針でもふた針でも刺繍をしている。」
中国工芸美術叢書 中国少数民族染織刺繍篇3『貴州苗族桃花』(邵宇・中国人民美術出版社+美乃美編/1981年/美乃美)
こんな緻密な刺繍をどんな人たちがどのようにどのくらいの時間をかけて作ったのか…
それは、上記の文章に集約されています。
野良しごとの合間合間に、小さな布をとりだしては、刺繍を刺す。その布片を服に縫いとめて、このような衣装が出来上がるのです。
いったいどれほどの時間がかかったのか、、、自給自足の生活の中では、おそらく丸一日刺繍をしている、などということはないでしょう。
そして糸の材料(綿、絹)を育て、紡ぎ、染め、織るところから考えると、この服1点に凝縮された時間の途方もなさを感じます。
3階では、「ミャオ族の子どもたちの世界」と題し、子どもを背負うための帯や、子ども服・帽子・靴なども展示しました。
「縫い目から魔が入るのを防ぐ」ために施されるという、びっしりと埋め尽くされた刺繍には、会場から感嘆の声が上がっていました。
会場内は、撮影自由、入場無料です。残す数日の間に、ぜひご来場ください。
photo:田中由起子