Report

36

三軒茶屋・大三角地帯展 ~ひらき、ひもとく記憶と記録

EVENT 1「酒場の話を聞く | 酒場にまつわるトーク」

Page3/3

03

変わりゆく横丁を楽しみ続けるために

ここで、休憩の時間に。「酒」がテーマのトークイベントのため、特別に、お越しいただいた方々にふるまい酒が行われました。日本酒は、西太子堂駅前にある酒屋「唐木屋」で購入したもの。会場があたたまるなかで後半戦がスタート。酒場の楽しみ方について話が膨らみました。

酒場ライターのパリッコさんと酒場案内人の塩見なゆさんを講師に招いたトーク
パリッコ(ぱりっこ)パリッコ

僕が一番好きなのは「なんだかよくわからない店に入っていく」という体験ですね。冒険心というか。

塩見なゆ(しおみ・なゆ)塩見

私が酒場を楽しむ一番の理由は、その街に暮らす普通の人たちの普通の日常を一番気軽に覗けるのが飲み屋さんだからです。私、地理が大好きで。たとえばGoogleマップを見ていて、繁華街があるところってベージュ色に塗られているんですね。そこに行けば何かおもしろいものがあるんじゃないかと思うので、まずは行ってみます。その街で、一番地元の人たちが集まっていそうなお店に入るんですね。入った瞬間に「完全アウェイ」になることもあるんですけど(笑)。

パリッコ(ぱりっこ)パリッコ

でも、それが快感に変わってきますよね。

塩見なゆ(しおみ・なゆ)塩見

「ちょっとすみません、お邪魔します」と申し訳なさそうに暖簾をくぐって。出口に近いカウンターの端っこに座って。メニューの一番右上にあるのがだいたい名物ですから、それと、地酒があれば一緒に頼みます。

パリッコ(ぱりっこ)パリッコ

メディアの影響で「酒場は隣り合った人と仲良くなる場所なんだ」というイメージがあるじゃないですか。でもそれは、ちゃんと様子をうかがいながらじゃなきゃダメですよね。絶対に心に留めておきたいのは「控えめに」。「この店、一人大丈夫ですか?」ぐらいの謙虚な姿勢を大切にしています。

街で暮らしている人のことを第一に考える。そんな二人の飲み方の極意に、会場も盛り上がりました。

酒場ライターのパリッコさんと酒場案内人の塩見なゆさんを講師に招いたトーク

最後に、話題は三茶を越えて全国へ。溝の口、祐天寺、自由が丘、新秋津、など二人が飲むのが好きな駅のほか、横丁についての話が盛り上がりました。

北区・王子の「さくら新道」、大田区・大森の「地獄谷」、江東区・門前仲町の「辰巳新道」、杉並区・西荻窪の「柳小路」、渋谷の「のんべい横丁」、新宿の「思い出横丁」「ゴールデン街」、池袋の「人生横丁」「美久仁小路」、横浜の「狸小路」。関東を飛び出して、北海道・旭川の「ふらりーと」、宮城・仙台の「文化横丁」など、二人の膨大な酒場知識から、横丁とそこにある名店の名前が次々とあげられます。その中には、既になくなってしまった横丁も存在していました。

塩見なゆ(しおみ・なゆ)塩見

新宿の「思い出横丁」も「ゴールデン街」も、今の建物を壊したら、二度と同じものをつくることはできない。戦後のどさくさの中でできたトタン屋根と柱を、なんとか守っていかないといけないですね。

会場からの質問コーナーを経て、最後に二人から言葉を寄せていただきました。

塩見なゆ(しおみ・なゆ)塩見

三角地帯をうろうろして思うのは、お店の入れ替わりが激しいということ。それだけ箱が小さくてチャレンジしやすい場なんだと思います。ここで成功して他の街へ羽ばたいていく店も多い。これからもいい店が育っていく場所であってほしいですし、皆さんもぜひ、お店の人に「この料理、いいね」と声をかけて盛り上げてほしいなと思います。

パリッコ(ぱりっこ)パリッコ

僕は生粋の練馬っ子なので、三茶に対して「おしゃれでしゃらくさい」っていうコンプレックスが実はあったんです(笑)。でも、先日なゆさんに案内してもらって、三角地帯の魅力にすっかりハマりました。まだまだ行きたい店、通いたい店があるなと思っているのが現状です。

塩見なゆ(しおみ・なゆ)塩見

私たちの今日の会話は、いわば「0軒目」ですよね。ここからお店に行って初めて、今日のトークは成立するわけですから。夜も更けてきたので、飲みに行きましょう!

三角地帯の路地にひしめく飲食店には、戦後の闇市から現代まで、さまざまな時代の記憶が地層のように織り混ざっています。小さなお店を一軒一軒楽しみ、お気に入りのお店を見つけて通うこと。居酒屋に訪れるときに、その街が歩んできた背景に思いを馳せてみること。それは、いつものお酒をもっとおいしくする秘訣なのかもしれません。

クラシー・カワルン
クラシー
横丁文化が気になるよ!
カワルン
一期一会だね

Supported By

ライター:竹中万季(Me And You/大三角地帯編集部にて本イベントを担当)
写真:生活工房
クラシー&カワルン イラストレーション: にしぼりみほこ

生活工房ギャラリー移転のお知らせ

詳細をみる