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レポート | 眞田岳彦さんとともに振り返る、「赤をめぐる旅展」vol.3 | 世田谷文化生活情報センター 生活工房

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眞田岳彦さんとともに振り返る、「赤をめぐる旅展」vol.3

「文様」から、日本人の「祝い」を探る

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原始の日本人が「円」に込めた思い

この旅を通して、私たち日本人の先祖たちは「祝う」もしくは「祈る」「感謝する」という気持ちを、どんな文様、つまり初めに言った言葉の柄として表してきたんだろうか、ということを改めて考えました。そうすると僕はやはり「円」が象徴的だと思ったのです。もっと言えば、円というより、それは円転と呼ばれるものです。円転とは、円が回っていくこと。円転することで、水や空気は渦になって、大きな力が湧き出てきます。渦が3次元に立ち上がると螺旋となり、人智を超えた力になっていく。もっと身近なところでは、糸を紡ぐ、縄を綯うということに通じます。縄は人の生き方を大きく変えました。縄を綯うことで、強靭な弓の弦をつくることができ、網をつくることができます。時には家をつくることもできました。要するに繊維を単純にねじる=円転することで、強靭なものになり、生活を豊かにすることができたのです。そこにはまさに神の力が宿ったかのように感じたのではないでしょうか。だからこそ、体に文身(刺青)を入れて、神の力によって守ってもらえるようにしたのではないか、土器の文様も中身を守るため、器に力を宿そうとしたのではないかと思ったのです。

円際 en-sai, 2018
クラシー
円転ってこんな感じかな。
カワルン
すごい、たしかに縄みたいだ!

Q

クラシー&カワルンから眞田さんへの質問

「赤をめぐる旅展」とは、眞田さんにとってどのような位置づけになるのでしょうか?
この活動は、現在、私が最も興味のある「色彩」や「文様」を通して、自身の心の奥の記憶を呼び覚ます生命の本質的な「躍動」のようなものを伝えられたらと思っています。同時に「私たちが、今ここに存在する」意味を来場者と共に考える場を生み出すことを目的としています。日本人は、古くから赤という色に生命の力を感じてきました。赤とは、言わば、脳内で知覚される光です。ヒトの祖先は赤の光を感じる色覚を得ることで熟した果実を認識し、異性との生殖時期を知り、集団で平穏に生きる術を手にしたと思われます。その意味では、赤は「青」や「緑」といった二つの色覚とは異なる生命の本質と強い繋がりがあるとも言えます。
今回の旅は、作品づくりにどう影響を与えましたか?
海原で二つの力が出合って渦潮が起こり、円ができるように、光が何かと出合って円が描かれた時、内と外を分ける「円際」が生まれ、そこに僕たちの身体や生命が表れるのでは、と感じました。縄文や弥生の人たちは、そういうことから祭事で光もしくは赤に触れていたのではないか、と考えて、今回の作品を制作しました。平面の布に僕は赤い線を描いたんですが、それをハンガーで立ち上げると人間の形になるようにつくっています。前身頃を切ってつなげると赤い円が螺旋になって連なります。上下につなぐとS字に、さらに無限大の記号の形に見えるようにつながっています。生き物は原始の時代からそんな文様を描きながら続いているのかもしれない、と色んな角度から見てもらえたらと思います。

「赤をめぐる旅」、
一緒に行きたかったなぁ。

ホント!でも、ぼくたちも話を聞いてるだけで、その時代を旅したような気分になれたよ。

Supported By

構成+ライティング: サスティナ・ジャパン株式会社
クラシー&カワルン イラストレーション: にしぼりみほこ