本展で、第3回目となる「赤をめぐる旅展」。
第1回(2017年4-5月)では、根源的な「赤」を求め、紅やベンガラなどの染料や顔料が産出される土地へ。第2回(2017年12-18年2月)では、「赤」と「白」で祝いのカタチを表現する水引の産地へ。今回は、「祝いのはじまり」を表象する、縄文、弥生、古墳時代に描かれた文様・図柄を訪ねました。衣服という視点から日本人が伝承する「願い」と「祈り」、そして「祝いの心」について、巡りあった物や事をもとに、眞田さん自身が制作した作品展示も交えて振り返ります。
- 会期:
- 2018年12月19日(水)~2019年1月20日(日)
- 時間:
- 11:00~19:00 月曜休み(祝日はのぞく)※12月29日~1月3日は年末年始休館
- 会場:
- 生活工房ギャラリー、ワークショップルーム A・B
Speaker
女子美術大学特任教授 東北芸術工科大学客員教授 SANADA Studio inc.主宰
日本の衣服・繊維研究と造形活動を行う。ISSEY MIYAKE INC.にて衣服を学び、92年渡英。彫刻家RICHARD DEACONの助手を経て95年に帰国しSANADA Studio 設立。国立民族学博物館外来研究員などを経験し、国内外の美術館・ギャラリーで衣服/繊維作品の発表、染織・地域プロジェクト、企業のアート&デザインディレクションなど行う。著作「Ifuku 衣服」(六耀舎)、「考える衣服」(スタイルノート)他
眞田さんの「赤をめぐる旅展」第3弾、待ってました!!
各地の旅の思い出も聞きたいなー。
01
「赤をめぐる旅展」、これまでの歩み
「赤をめぐる旅展」シリーズでは、日本人の生活の大切な節目になる「祝い」ということをテーマに掲げています。そこで、赤にまつわる土地を巡りながら、衣服を取り巻く素材・色彩・染料・文様を要素として解き明かしてみようと試みました。各地域の博物館の方々にも寄稿をいただき、私たちが巡った土地・暮らしを紹介しています。初回は「赤とは何か」という展覧会を行いました。根源的な「赤」を求め、紅やベンガラなどの染料や顔料が産出される、山形、埼玉、三重、大阪、奈良といった土地を巡りました。「赤」を見分ける色覚をほとんどの哺乳類は持ち合わせていません。ヒトの祖先が赤を認識できるように進化したことで、熟した実や花を見分けられるようになり、人類はここまで生き延びてきたんだと思います。赤というものは、人間にとって不可欠なものであり、生きるための可能性を広げるものであるということがこの旅を通して理解できました。
第2回は、「水引」に着目し、日本橋、飯田、金沢、越前、京都などを巡りました。
「赤」と「白」で祝いのカタチを表現する水引の産地を訪ね、純粋で精白な心を白に、生命の力を赤に象徴して、仲間の喜びをともに喜ぶこと、喜びを分かち合うことが、祝うという情感の原点であろうと捉えました。
- クラシー
- わっ
今日は古墳時代のファッションかな? - カワルン
- ぼくのトレードマークの蝶ネクタイの赤色、
古代から大切にされてきた色なんだよ。
02
言葉や絵柄としての文様を探る
第3回は、縄文・弥生・古墳時代の根源的な模様を探りながら、日本人が「祝い」という想いや情感をどのように表現してきたのか改めて考えてみたいと思います。みなさんは「文様」について深く考えたことはありますか。「文」は僕たち人間の襟元に刺青を入れた象形であり、「文字」につながるものです。文様と文字はもともと一緒で、記号化して多くの人が共有できるかたち、ということだと思います。今回、各地域で、どのようなものが言葉として絵柄に表されていたのかを知りたいと考えました。そこで、古墳時代以前のものを巡ることにしました。飛鳥・奈良時代に入ると仏教が日本に伝来したことで、文様は飛躍的に多彩な広がりをみせます。たとえばギリシャなどからもたくさんの文様が日本に入ってきた結果、様式化の進んだ文様を日本人が好んで使うようになったのです。そのため、それ以前の姿を知りたいと考えたわけです。
- クラシー
- 円の文様は古代の遺跡にも多く見られるね。
- カワルン
- 家族やともだちと円満にすごしたいっていう願いのあらわれかも!