本展で第3回目となる「赤をめぐる旅展」。これまで「祝いの赤」にまつわる土地を訪ねてきました。
第1回(2017年4-5月)では、根源的な「赤」を求め、紅やベンガラなどの染料や顔料が産出される土地をめぐり、第2回(2017年12-18年2月)では、「赤」と「白」で祝いのカタチを表現する水引の産地を訪ねました。
本展では、「祝いのはじまり」を表象する、縄文、弥生、古墳時代に描かれた文様・図柄を訪ね、衣服という視点から日本人が伝承する「願い」と「祈り」、そして「祝いの心」について考察します。
展覧会内容
○4FワークショップルームA・B
文様を訪ねて出逢った物や事をもとに、眞田岳彦が衣服造形作品をつくり展示
祝いの根源的文様を求めて各地の祭事器や土器をめぐりました。それらに印された「円」や「渦」から、原始の日本人は、魔を防ぐ神聖な力は「円転」により生じ、また、生命をも生み守ると捉えていたと感じました。 本展では、「円」を描いた30点以上の衣服作品を会場に展開し、同時に、青森、滋賀、福岡、佐賀、熊本の取材で得た感動を紀行文と写真で紹介します。(眞田岳彦)
円際 en-sai, 2018
祝いの根源的文様を探る
縄文文化の栄えた地として、その様相をいまも伝える青森県、弥生時代の祭器が多く出土する滋賀県近江八幡市や野洲市周辺、色鮮やかな装飾古墳が残る九州北部など、各地の研究者による文様文化に関する寄稿文を紹介します。
縄文時代:「縄文文化の特徴と縄文文様」青森県八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館
「縄文時代の世田谷」東京都世田谷区立郷土資料館
弥生時代:「弥生文化の特徴・銅鐸文様」滋賀県滋賀県立安土城考古博物館
「王塚装飾古墳」福岡県王塚装飾古墳館
「古墳文化の特徴 古墳装飾文様」熊本県熊本県立装飾古墳館
○3F生活工房ギャラリー
江戸着物の文様をみる/生活にみる祝いの品々
江戸時代以降、花、木、鶴、蝶など様々な吉祥模様が登場し、公家のみならず、武家や町民に祝いの象徴として広がりました。そうした江戸時代の着物に描かれた「祝いの文様」と、現代に引き継ぐ「祝いの心」を私たちの生活の中にある品々から紹介します。
左から、梅樹熨斗蝶模様打掛 江戸時代 19世紀(一部)、鶴亀花入菱繋模様小袖 江戸時代 19世紀(一部)(協力:女子美術大学美術館)、神酒口「三っ玉輪」(東京都福生市)
眞田岳彦(さなだ たけひこ)衣服造形家
女子美術大学特任教授 東北芸術工科大学客員教授 SANADA Studio inc.主宰
日本の衣服・繊維研究と造形活動を行う。ISSEY MIYAKE INC.にて衣服を学び、92年渡英。彫刻家RICHARD DEACONの助手を経て95年に帰国しSANADA Studio 設立。国立民族学博物館外来研究員などを経験し、国内外の美術館・ギャラリーで衣服/繊維作品の発表、染織・地域プロジェクト、企業のアート&デザインディレクションなど行う。著作「Ifuku 衣服」(六耀舎)、「考える衣服」(スタイルノート)他。