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参加のデザイン道具箱
世田谷まちづくりセンターでのワークショップ等の方法をまとめた『参加のデザイン道具箱』。テーブルでは実際にワークショップで使われた道具も一緒に、本そのものを手に取って読むことができ、壁には数ページが選ばれて展示されています。1993年から2002年にかけて4冊が刊行、日本中で広く読まれ、ワークショップの手法の普及に一役買いました。
世田谷まちづくりセンター(現・世田谷トラストまちづくり)は、1992年に設立された区民のまちづくりを支援する専門家組織でした。世田谷区の都市整備公社の係として設立され、所長も含めて数名の小さな組織としてスタートしますが、公園の整備、団地の建替え、緑道の整備、都市整備方針案の作成など、行政と区民をつないで多くのプロジェクトを実現していきました。そこに導入されたのが「ワークショップ」です。
90年代以降、行政による都市デザインから住民との共同作業による都市デザインへと住民参加の比重が大きくなっていく中、設計者が地域住民へ理解を求め、住民の提案を引き出し、まとめるのに、ワークショップは有効でした。この本にはまちづくりの場面でさまざまな立場の参加者が対等にコミュニケーションし、創造的な結論を導きだすための手法が詰まっているのです。「誰でもが最初から自由な雰囲気の中で発言でき、しかも限られた成果を生み出せる集まりを持つことが必要とされています。このような場をどうつくるかを考えるのが『参加のデザイン』です」(『参加のデザイン道具箱』世田谷まちづくりセンター、1993年より抜粋)。
看板にも大きく書かれている通り、遊び道具を積んで公園などに出向くリヤカー、「プレーリヤカー」です。世田谷区内では、子どもたちの外遊びを支援しようとさまざまな団体がプレーリヤカーの活動を行っていますが、今回展示したものは「プレーリヤカーKOPAN」に提供いただきました。
子どもが外で遊べなくなっていることに危機感を持った世田谷のある夫妻が、欧州の冒険遊び場=プレーパークを紹介し、自分たちが暮らす地域で子どもが自由に遊ぶ場所をつくる運動を始めました。これが1979年、日本初のプレーパークの誕生につながります。プレーパークと連携しつつ、乳幼児の外遊びの環境づくりに取り組んでいた故・矢郷恵子さんが2006年に開発したのがプレーリヤカーです。
プレーリヤカーに積んでいるものは落書きボードや砂遊び道具、ままごとセットに水遊び用プールなど、場所や季節によって様々で、乳幼児親子を対象としたもの。そしてこの活動は、①イベントではなく日常的に外遊びができる、②公園を活用し仕掛けや時間をつくる、③地域交流・地域人材の活用、をモットーとした矢郷さんの思いが引き継がれているのです。2008年からは、プレーパークの外に遊び場を出前する発想で、活動時間も長い「プレーカー」も運行されており、現在はどちらも世田谷区の自然体験遊び場事業となっています。
- カワルン
- みんなで、つながってできたんだね
- クラシー
- 日々の暮らしともつなげたいね
Supported By
展覧会場写真:澤木亮平
クラシー&カワルン イラストレーション: にしぼりみほこ