世田谷はたくさんの人々の「暮らし」の場であり、住民の意思にもとづいて「まちと暮らし」がつくられてきました。1974年に地方自治法が改正され、1975年に区長公選制が復活してから50年の節目にあたる今年、世田谷のまちづくりの記録を一覧し、これからを展望する展覧会を行いました。総計200点以上の展示物のなかからいくつかをピックアップして、本展の一部をご紹介します。
- 会期:
- 2024年1月31日(水)~4月21日(日)
- 時間:
- 9:00~21:00 祝祭日を除く月曜休み
- 会場:
- 生活工房ギャラリー、ワークショップルームB
まちをつくるから
「まちづくり」かな?
まちって
どうやってつくるんだろうね。
01
50年の歴史がつくった空間
展覧会場は「まちづくりの空間」、「地形と都市計画」、「グラフィックデザインと都市デザイン」、「ワークショップと道具箱」、「市民のデザイン」の5つのパートで構成されました。導入の2つのパートでは、まず世田谷における50年という時間の広がりを年表によって一覧、続いて世田谷の空間の広がりを模型や地図で一覧できるようになっています。
世田谷のまちづくりの特徴といえば、なにより住民が積極的・主体的に関わってきたことです。年表は、まちづくりに関する市民活動とそれを支えるしくみができていく流れがまとめられています。挙げられているのは、全国に先駆けて始まった市民参画型ファンド「まちづくりファンド」への採択事業が中心となっています。それぞれの市民団体の取り組み同士をつなぐような動きも周期的に起こっていることや、近年はコミュニティ・ビジネスのように自立を図る取り組みが増えてきていることも読み取れます。
この細長い形の模型は下北沢エリア、特に世田谷代田と東北沢の駅間の周辺環境の変化を表したものです。
下北沢は小田急電鉄と京王電鉄が交差する結節点に発達したまちで、低層の建物が建ち並ぶ迷路のような雰囲気が魅力でした。活気のある飲食店や商店のみならず劇場やライブハウス、古着や骨董など特色ある店も多く、沿線に住む人にも訪れる人にも愛着のあるまちです。しかし2003年に小田急線の地下化、駅前広場の整備や都市計画道路の建設が決定し、すでに成熟していたこのまちを大幅に変更する再開発計画がもたらされました。
これに対してさまざまな市民運動が立ち上がりますが、下北沢のまちの人たちや、鉄道会社、そして世田谷区はそれらの議論を受け、この模型を使ってさらなる議論を重ねました。いよいよ2019年に小田急線が地下化して以降、地上にあいた線路跡地は、まちの魅力を受け継ぐ低層の施設が連なる全長約1.7kmの「下北線路街」として再出発し、2022年に全面開業。京王電鉄の高架下には遊ぶ×働くをテーマにした「ミカン下北」がつくられ、いずれもさまざまな市民活動が展開されています。
現在もまちづくりの議論が続いているので、区役所からお借りして展示しているこの模型は、まだまだ現役の模型なのです。
- カワルン
- 模型を眺めるだけでも、まちのいろんなことが見えてきそうだね
- クラシー
- みんなで一緒に見るのが
大事なのかも