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自分史をひもとく|年表+事典ワークショップ
街やお店から「自分史」を辿ってみる
歴史の話は2000年代まで続きました。しかし、そんな「店」と「街」の歴史をたどっていけば、チェーン店であれ、個人店であれ「街の思い出」というのは至るところにあるのではないでしょうか?
80年生まれのパンスさんの三軒茶屋との縁は、上京後しばらくして2006年に下高井戸に移り住んだ頃から。DJバー「DUNE」で過ごしたり、今も行きつけの漫画喫茶「ガリレオ」で仕事をしたりしているそう。そうした店で生まれた思い出も色々とあるわけです。
ワークショップの後半は、そんな街での「自分史」を考えていきます。題材になるのは参加者の皆さんに記入いただいた「自分史アンケート」。
ご自分に縁のある〈年/三軒茶屋の場所/出来事〉を書いてもらいました。
アンケートの回答を見ながら、パンスさんと参加者の間で会話をしていきます。
〈1960年代前半/不二家:1人で玉電に乗って、ドーナッツを買いに行った。我が家の「通過儀礼」だった/三角地帯の商店:母と買い物に行き、うなぎ屋が店の前でうなぎにくぎを刺しさばいているシーンが印象的だった〉
とても映像的な記憶ですね。『不二家』は他の方からもあがっていました。洋菓子の不二家がやっていた『不二家レストラン』で、長く暮らしている住民の方には定番のお店だったそうですね。
〈2000年代(大学生)/キャロットタワー:命名者が友人の同級生と知る。タワーの色が人参みたいだったからだと。“キャロット”の長らくの謎がとける〉
こちらは、1982年生まれの方から。名前を募集してたんですか?
アンケートを書いた参加者さんから、「公募だったんです。中学生の頃に出したそうで、長年の謎が解けてすっきりでした(笑)」と教えてもらいました。
様々な世代の方から集まる街の記憶。中には「昭和女子大の前の横断歩道を慌てて渡ったら3万円落とした」という思い出も。参加者とパンスさんで話をしていると当時の記憶が連想のように広がっていきます。
また一方で、三軒茶屋のカルチャーを象徴するお店についての声も多くありました。
〈1980年代(中学~高校生) 書店:甲文堂書店(3階建)、三軒茶屋書店(70年代後半開店)、太子堂書店/古書店:大雅堂書店、進省堂書店(いずれも老舗)、喇嘛舎(80年代〜現・神保町)〉
参加者のひとりが「三軒茶屋には、書店も古本屋もずいぶん多かった。今はその多くが姿を消し、ブックオフなどの大型チェーン店に置き換わってますね」と振り返ると、さらにその方のふた周りほど下の世代からはこんな回答も。
〈2000年代中頃/ガリレオでひたすら友達とマンガ読んだり、246のところにあるBOOKOFFで立ち読み。TSUTAYAでCDや映画を借りまくる。ジーンズメイトの奥、今コンビニになっているところはフラップノーツといういいレコ屋で、学校帰りにそこに行って、横にある古本屋で岡崎京子のマンガとか『STUDIO VOICE』をよく買っていた〉
音楽シーンで活動する参加者さんとパンスさんの間では「幻のレコ屋」とされるお店や、ライブハウスの思い出も盛り上がります。カルチャーとの出会いや触れ方も、街の変化とともに変わっていきました。
そして、三軒茶屋といえば映画館。参加者のお一人が小さなお子さんと共に過ごした思い出に「あやしげな映画館で入りにくかった。子ども向け映画が遅れて上映されていて入ったが、暗すぎる内部にドキドキした。向かいの三軒茶屋中央劇場のカッパのイラストが印象的だった」といった声もありました。
話しているうちに、暮らしに縁深い「街」としての三軒茶屋と三角地帯のイメージが広がっていきます。酒場の思い出も、もちろん。締めのあいさつでは、おすすめの酒場を参加者にたずねるパンスさん。「小桜」「虎龍」「おさか」……といった店名があがります。
街と自分の歴史の交差するところというのは、考えてみればたしかに至るところにある気がします。あのご飯屋さん、あの本屋さん、あの喫茶店、あるいはただの路上……だけど言葉にされていないような場所は、思い出そうにも記憶に埋もれてしまっていることもしばしば。パンスさんが考える「風俗史」は、そんな記憶を辿るための補助線にもなるのかもしれません。
思い出は色んなところに
あるよね
お話ししてると思い出すなあ
Supported By
ライター:大澤景(編集者/大三角地帯編集部にて本イベントを担当)
写真:生活工房
クラシー&カワルン イラストレーション: にしぼりみほこ

