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もしも火というものがなかったら
どこでどうしているだろう
食べられるものは ほんの少ししかなくて
いつもおなかが空いている
冷えた体をあたためたくて
ふるえながら待つ朝陽
月明りのない夜は 動物の気配におびえて
樹の上で眠ったかもしれない
ひとつところに集うこともなく
ばらばらに 生きているかもしれない
歌は生まれただろうか
物語は生まれただろうか
火がなかったら
私たちは何者だったろう
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人の生活はこれまで、火とともにありました。しかし現在、熱・明かり・調理など、火がこれまで果たしてきた多くの役割は、別のエネルギーに取って代わられつつあります。
火と人のこれまでとこれからを探るべく、4つの切り口で集めた記録映像の上映会を開催します。
●vol.3 火がつくるもの● 12月21日(土)
およそ2万年前、焼けた土が硬くなることに気付いた人類は、土器をつくり出します。土器で煮炊きすることで穀物が食べられるようになり、歴史は農耕社会へと移り変わっていきます。やがて金属の精製がはじまり、私たちが扱う火はどんどん大きくなりました。鉄、ガラス、セメントといった近代都市をかたちづくる素材も、火によって生み出されています。
上映作品
◎今日の火起し映像「火錐づくりと火起し」(1962年/5分30秒/無声/東ペルー/マチゲンカ族/EC)
1.「川口の鋳物師」(1984年/41分/民族文化映像研究所)
2.「ガラスの水差しづくり」(1975年/8分/無声/レバノン/EC)
3.「沼鉄鉱の製錬」(1955年/9分/無声/西アフリカ/セヌフォ族/EC)
4.「マリャダ・ソルダの陶器の焼成」(1970年/12分/無声/ポルトガル/EC)
5.「茂庭の炭焼き」(1989年/32分/民族文化映像研究所)
6.「銀線細工と首飾りづくり」(1964-65年/13分30秒/無声/タイ/メオ族/EC)
7.「飲物用の土器づくり」(1968年/11分30秒/無声/ナタール/ズールー族/EC)
8.「なた“パラン”の鍛造」(1984年/12分30秒/西カリマンタン/カヤン・ダヤク族/EC)
9.「飛騨古川の和ろうそく」(1980年/14分/国立民族学博物館)
●vol.4 火に祈る● 12月28日(土)
空へ高く昇る煙、形あるものを焼き尽くす力。火は地球上のさまざまな社会で、天と地をつなぐ媒介としてとらえられ、異世界にメッセージを届ける役割をも果たしてきました。ゆらめく炎を見つめている時、私たちの想いも火にくべられて、ともに燃え上がり、燃え尽き、そして遠くに届いてゆくのかもしれません。
上映作品
◎今日の火起し映像「製鉄炉づくりと製錬」(1963年/2分30秒[抜粋]/無声/東サハラ/ベーレ族/EC)
1.「シュクオル村のホム・ストロム」(1996年/2分30秒/Presence Switzerland)
2.「ウダイプルのホーリー祭」(2012年/20分/国立民族学博物館)
3.「那智の扇祭り」(1979年/33分/東京シネマ新社)
4.「広島の平和の鐘」(1989年/8分/東京シネマ新社)
5.「大文字」(1974年/30分/日本新薬株式会社)
6.「土と火と水と バリ島の葬式」(1988年/21分/国立民族学博物館)
7.「マンダレーの灯明祭」(1980年/14分/国立民族学博物館)
8.「フュルセテンフェルトブルックの子供の家屋型の灯籠流し」(1969年/12分/バイエルン/EC)
9.「おけらまいり」(2000年/12分/京都市文化市民局文化財保護課)
※EC=エンサイクロペディア・シネマトグラフィカの略称
vol.3, vol.4 いずれも
14:00~17:00(途中休憩あり、入退場自由)
参加費:500円(資料と1ドリンク代)
当日先着順 各40名
生活工房4階ワークショップルーム