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もしも火というものがなかったら
どこでどうしているだろう
食べられるものは ほんの少ししかなくて
いつもおなかが空いている
冷えた体をあたためたくて ふるえながら待つ朝陽
月明かりのない夜は 動物の気配におびえて
樹の上で眠ったかもしれない
ひとつところに集うこともなく ばらばらに 生きているかもしれない
歌は生まれただろうか 物語は生まれただろうか
火がなかったら 私たちは何者だったろう
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人の生活はこれまで、火とともにありました。
しかし現在、熱・明かり・調理といった、火がこれまで果たしてきた役割の多くは、
別のエネルギーに取って代わられつつあります。
火と人のこれまでとこれからを探るべく、4つの切り口で集めた記録映像の上映会を開催します。
(画像左より「火錐での火起し」、「あこがれの大島へ」、「椿山 焼畑に生きる」、「パン焼き」)
vol.1「火の星に生きる」
6月22日(土)14:00-17:00
地球中心部の温度は、およそ6000度。地表面は冷えていますが、内部には太陽の表面温度と同じ熱を抱いた星に、私たちは住んでいます。地球内部のマグマは、火山噴火により地表に顔を出します。世界には現在、約1500の活火山があり、そのほとんどが環太平洋地帯に分布。そして日本は全活火山の約1割が集中する、世界有数の火山国なのです。
火山は大きな脅威ではあるけれど、同時に多くの恵みももたらします。火山活動が生み出した南太平洋の島々やアフリカの大地溝帯での動植物の営み、そして日本の新島や大島での人々の暮らしを伝える映像を通し、火山とともにある生命を見つめます。
【上映作品】
*今日の火起し映像「火錐での火起し」(1967年/3分/メラネシア サンタクルーズ群島 リフ諸島/エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〈E1399〉)
1.「火山が育む海」(2011年/48分/日本語字幕/BBC『サウス・パシフィック』より)
太平洋の火山活動が生み出す独特の生態環境。地熱を孵卵器として使うソロモン諸島の鳥、火山島の浸食と沈降から成長するサンゴ礁とそこに住む動物たちなど、火山の特徴を利用して生きる太平洋の生物を見つめる。
2.「大地溝帯~裂ける大地」(2010年/48分/日本語字幕/BBC『グレート・リフト』より)
現在もその距離が広がり続けている地表の巨大な裂け目、東アフリカの大地溝帯。ヴィルンガ国立公園にしか生息しないマウンテンゴリラ、溶岩洞で眠るドグエラヒヒ、カルデラで放牧するマサイの人々など、特異な環境の中に生きる生命を追う。
3.『太平洋の中の新島 火山島・新島の成り立ち』(1997年/30分/新島村博物館・民族文化映像研究所)
新島村は、新島本島、式根島の二つの有人島と、三つの無人島からなる。この姿を形成するまでの約10万年の間、多くの火山活動があった。火山島の恵みである温泉、噴火口跡の地形を活かして開かれた畑…。人々は火山島の特徴を活かして暮らしてきた。
4.「火山灰にいどむ」(1965年/12分/日経映像『日本の詩情』より)
観光ブームにわく大島。その裏には、火山灰地に生きる島民の計り知れない苦労があった。
5.『あこがれの大島へ』(1936年/15分/穴アーカイブ)
世田谷区民から8ミリフィルムを集めて開くプロジェクト「穴アーカイブ」で発見された1本。戦前、ブームとなった大島旅行に興じる観光客が映し出されている。
vol.2「火と食べもの」
6月29日(土)14:00-17:00
人が火を使って料理をするようになったのは、数十万年以上前のこと。以来、果実が豊富に採れる熱帯でも、肉が腐りにくい北極圏でも、生食のみに頼る文化というのは存在していないそうです。
火が食べものを柔らかくし、人は消化にかける時間と労力を減らすことができました。顎が小さくなり、その分脳が大きくなりました。
そして身体面だけでなく、食べものが焼きあがるのを「待つ」時間、皆で火を囲み語り合う時間も、私たちを育てたのかもしれません。
【上映作品】
*今日の火起し映像「トレース海峡原住民 踊りと火起し」(1898年/1分30秒/無声/メラネシア/アルフレッド・コート・ハッドン撮影)
1.『椿山 焼畑に生きる』(1977年/95分/民族文化映像研究所)
高知県の椿山集落における焼畑を中心にした一年の生活と人々の生きざまを、4年間にわたって記録した長編。3~5年にわたりヒエ、アワ、大豆、小豆、トウモロコシ、ソバなどの作物を作ったあと焼畑をして山に還し、20~30年の周期で元の場所に戻る。
2.『パン焼き』(1963年/10分/無声/アフガニスタン・タジク族/エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〈E0715〉)
3.『サゴ料理』(1962年/11分30秒/ニューギニア・ミューダナ族/エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〈E0530〉)
4.『長良川の鵜飼い』(1989年/10分/日本ビクター「残したい日本の音風景百選」より/東京シネマ新社制作)
夜、篝火に集まってくる鮎を鵜に獲らせる古代漁法の風景。
(追加上映作品決定!)日本初の夜間撮影により撮られた、100年以上前の長良川の鵜飼の映像も少しお見せします!
5.『ネツリック・エスキモー 石堰による漁撈2』(1967年/27分/現地語のみ/カナダ国立映画制作庁)
北極圏に暮らすネツリックの人々の、8月の暮らし。火を起こし、獲った魚を煮る。
6.『フクロネズミの料理と食事』(1976年/5分30秒/無声/ニューギニア・ファ族/エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〈E2776〉)
7.『水草からの塩の採集』(1960年/10分/無声/ブラジル・スヤ族/エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〈E0446〉)
【参加方法】
いずれの日も14:00-17:00(途中休憩あり、入退場自由)
参加費:500円(資料代・1ドリンク代)/当日先着順40名
*火山にちなんだドリンクをご用意しています。エトナ山麓のブラッドオレンジジュース、インドネシアやグアテマラの火山灰地のコーヒー、大島の明日葉茶など!(6月11日追記)
*12月21・28日開催、vol.3「炎の生み出すもの」vol.4「火に祈る」(仮題)の上映作品は、10月上旬にホームページなどで公開予定です。