2011年より、世界の海沿いに暮らす人々の生活を紹介してきたシリーズ企画「7つの海と手しごと」。
最終回となる本展では、北米大陸北西部の海岸沿いに住む、
北西海岸先住民(北西海岸インディアン)の手しごとを取り上げます。
北西海岸地域の各集団では、氏族や家などの名称や紋章として〈トーテム〉が使われてきました。
トーテムとは例えばワタリガラス、シャチ、クマ、カエルなど、
集団の祖先と特別な関わりがあると信じられている特定の動植物や自然現象のことをいい、
日本ではトーテム・ポールがよく知られる存在です。
集団や個人のアイデンティティを示すものとして、家や柱のように大きなものだけではなく、
生活道具や衣服などさまざまなものに刻まれています。
北西海岸の伝説では、すべての動物は人間と同様の存在である〈動物の人〉であるとされ、
人間の姿になることもでき、また人間も自身のトーテムとする動物の姿になることができると考えられていました。
春から秋にかけて北西海岸の豊かな恵みを十分に蓄えた人々にとって、冬は儀式の季節でした。
長い冬の午後にはしばしば焚き火を囲みながら、世界がまだ新しかった頃の、人間と動物が同じことばを話していた遠い昔の物語を語り合ったといいます。
本展では、北西海岸に伝わるさまざまなトーテムの物語とともに、
北海道立北方民族博物館所蔵の生活道具や版画など56点のほか、
1920年代の現地の様子をとらえた映像も展示します。
関連の講演会やワークショップもあわせ、北西海岸先住民の生活と思想に迫ります。
シロイワヤギ毛製外套(チルカットローブ)
太陽文様フェルト製外套(ボタンローブ)
取っ手付スプルース・シダー根製バスケット
*会期中、4F展覧会受付前のショップにて北西海岸先住民関連商品の販売を行います。
イベント開催日には、現地アーティストの作品も販売も予定しています。
(協力:ファーストネーションズ・ジャパン株式会社)
*ワークショップ「チルカット織のペンダント」講師を務める是恒さくらさんの作品(リトルプレス「ありふれたくじら」vol.1,2の原画刺繍作品)も会期中の展示が決定しました! 「ありふれたくじら」vol.2も、受付にて扱わせていただきます。
―〈7つの海と手しごと〉vol.1~6 *いずれも会場は生活工房ギャラリー
第1の海「カリブ海とクナ族のモラ」2011年5月13日―6月11日
第2の海「北極海とイヌイットの壁かけ」2011年11月12日―12月18日
第3の海「地中海とトルコのイーネオヤ」2012年6月24日―7月22日
第4の海「ギニア湾とヨルバ族のアディレ」2014年1月25日―2月23日
第5の海「オホーツク海とウイルタのイルガ」2014年10月4日―11月3日
第6の海「インド洋とスンバ島のヒンギ/ラウ」2015年8月28日―10月4日
シリーズをまとめた特集ページ「クラシー&カワルンと巡る、7つの海と手しごとに触れる旅」もぜひご覧ください。