海に囲まれた国・日本。はるか昔、人々は新天地を求めて、また純粋な冒険心から大海原に漕ぎ出しました。ハワイには、13 世紀に漂着した日本船がサトウキビを持ち込んだという伝説が残っています。飛行機の普及によって旅は格段に早く便利なものとなりましたが、有史以来、海を介しての交流が連綿と続いてきたことも忘れてはなりません。
このたび生活工房では、「海によって分断された」ではなく、「海によってつながった」世界を感じるためのギャラリー企画を3 年にわたり展開します。世界の海の暮らしを、その手しごとから見ていく7 回シリーズの「7 つの海と手しごと展」です。
最初に取り上げるのは、パナマのカリブ海沿岸に暮らす先住民・クナ族の、「モラ」という民族衣装に施された美しいアップリケ刺繍です。かつては衣服をまとわず体にボディペインティングをして暮らしていたクナ族ですが、18世紀頃から腰布やサックドレスを身につけるようになり、体に描いていた模様をそのまま布に描いたり、別布を縫いつけたりしたのが、モラの始まりといわれています。多重アップリケともいわれる手法で縫われた色とりどりの布とおおらかなデザインからは、果てしない海への畏敬の念と、海に遊ぶ自由な想像力、豊漁の祈りと喜びが伝わってくるかのようです。
本展では、モラ研究家である宮崎ツヤ子さんのコレクションから、現地のモラ約50点と写真、映像、立体資料を展示し、クナ族の海の暮らしと手しごとをご紹介します。
*宮崎ツヤ子(みやざき・つやこ) 1973 年、パナマ滞在中にモラと出合い、クナ族との交流を深めながらモラの蒐集・研究を続ける。宮崎ツヤ子モラ研究所主宰、NHK 文化センター講師。著書に『モラ~カリブの民族手芸を楽しむ』『モラの教科書~リニューアル版』他多数
■モラと関連商品の販売について
下記日程で、コロンビアのモラ約100点、モラ小物・関連書籍などを販売します。(コロンビアのモラの売上げの1割は、東日本大震災の義援金として寄付されます)
【販売日時】(会場はすべて4階ワークショップA前にて)
5月13日(金)12:00-15:00
5月14日(土)11:30-17:00
5月28日(土)11:30-17:00
*そのほか、「モラのミニタペストリーを作る」ワークショップ終了後の1時間、同会場内で販売をします。