世界の海の暮らしをクラフトを通して紹介していく連続企画、“7つの海と手しごと”。
《第4の海》として、主にナイジェリアのギニア湾沿岸に暮らすヨルバ族の、「アディレ」と呼ばれる藍染め布を取り上げます。
アディレはもともとラップドレス用の布として作られ、その技術は母から娘へと受け継がれてきました。近年は自宅の庭に染色用の甕があるという家も少なくなりましたが。婚礼の持参品としてアディレが欠かせない地域もあるようです。
ちょうどこの展覧会が開かれる1月下旬は、アディレの染めに使用するヨルバ・インディゴが出芽する時期。藍の品種で唯一ヨルバ・インディゴは、出芽間もない幼葉でないと染めることができません。この頃女性たちは大急ぎで葉を摘み、製藍作業を開始していることでしょう。
日本の藍染めは米から作るデンプン糊を防染に使いますが、ヨルバ族は、キャッサバ芋のデンプン糊を使ってモチーフを描き、防染します。どちらも大切な主食でもあるのが興味深いところ。糊防染や、ラフィアの糸で絞り染めをして描かれる図案には一つ一つ意味があり、海の向こうの西アフリカの情景を私たちに伝えてくれます。
本展では、株式会社東京かんかん所蔵のアディレを中心に、ヨルバ族の民芸品、藍染めの映像などもあわせて紹介し、関連のワークショップやトークイベントも開催。青く波打つ海を布に写しとったかのような、アディレの魅力をお伝えします。
※シリーズをまとめた特集ページ「クラシー&カワルンと巡る、7つの海と手しごとに触れる旅」もぜひご覧ください。
関連イベント
1.トーク「西アフリカの藍染めについて」
1月25日(土)14:00-15:30 生活工房4FワークショップA
講師:小川弘(アフリカ美術研究家/株式会社東京かんかん代表取締役)
講師が長年現地を歩いて美を見出してきたアフリカの民芸品の図版を多数交え、ナイジェリアほか西アフリカの藍染めについて解説します。
定員:申込先着70名 参加費:500円
2.上映会「ブルーアルケミィ ―藍の物語―」
2月1日(土)14:00-15:30 生活工房4FワークショップA
上映作品:《BLUE ALCHEMY ---STORIES OF INDIGO》(監督:マリー・ランス/2011年ニューディールフィルム/79分)
日本、インド、バングラデシュ、アメリカ、メキシコ、エルサルバドル、そしてナイジェリア。世界各地に広がる藍染め(Indigo)の文化を7年の歳月をかけて追ったアメリカ制作のドキュメンタリーを、日本語での解説をつけながら上映します。
定員:申込先着50名 参加費:500円(徳島産の藍の葉茶つき)
*定員に達したため締め切りました。
3.ワークショップ「ヨルバ式絞り染めで作る藍のテーブルウェア」
2月15日(土)14:00-16:00 生活工房4FワークショップA
講師:山田よしえ(アーティスト)
木の実やラフィアの繊維を使って、藍の絞り染めを行います。ランチョンマットやテーブルセンターなど、美しい藍を暮らしの中で楽しみましょう。
定員:申込先着20名 参加費:2,000円(材料費込み)
*定員に達したため締め切りました。
【申込方法】1月6日(月)より受付開始。メール(①氏名②電話番号③希望日・イベント名を明記)か電話で生活工房まで。メール info@setagaya-ldc.net 電話03-5432-1543
【講師プロフィール】
小川弘(おがわ・ひろし) 1976年東京芸術大学大学院ビジュアルデザイン科修了、1977年、株式会社東京かんかん設立、代表取締役就任。世田谷区代田の本社ほか関東・大阪に15店舗を構え、アジア、アフリカのプリミティブアート、民族工芸品および民芸雑貨の輸入卸売販売をおこなう傍ら、全国でアフリカンアートに関する講演活動を行っている。著書に『アフリカのかたち』(里文出版)。
山田よしえ(やまだ・よしえ) 米マサチューセッツ州ボストン美術館大学の『Art of Africa』クラスで、ナイジェリアの染色と生活について学ぶ。現地に長年滞在し染色を勉強した経験を持つアフリカ系アメリカ人スタンリー先生の人柄と、西アフリカの女性が作り出す生き生きとした色とデザインの布に惹かれ、タペストリー制作に夢中になる。1994年帰国。子育てや語学講師を経て、2009年より横浜市黄金町にて制作活動再開。
*上記イベントの日の11:00-17:00に、イベント会場受付にてヨルバ族ほかの民芸品やDVDなどの販売会を行います。
*関連展示開催!「山田よしえ "Art of Africa"タペストリー」 ワークショップ講師の山田よしえさんによる、絞り染めのタペストリーを3-4階の吹き抜けに展示しています。あわせてご覧ください。
特別協力:株式会社東京かんかん
協力:株式会社道祖神/ちいさな藍美術館/山田よしえ/Henrr John Drewal/SOLOLA
写真提供:株式会社道祖神
フライヤーデザイン:direction Q