世界の海の暮らしをクラフトを通して紹介していく連続企画、“7つの海と手しごと”。
《第5の海》として、北海道の真北に位置するサハリン島(ロシア連邦サハリン州)で暮らしてきた少数民族・ウイルタの、「イルガ」と呼ばれる文様を取り上げます。
ウイルタの人びとはトナカイを飼い育てながら季節ごとに住まいを移し、アザラシ・サケ・クマなどを獲って暮らしてきました。日露戦争後、サハリンの北緯50度以南が日本領(樺太)となり、ほかの先住民族とともに「オタスの杜」となるけられた地での定住生活を送ることになります。第二次世界大戦後はオホーツク海をわたって網走に移住したウイルタもおり、サハリンには現在約300名が暮らしています。
ウイルタに伝わる伝統的な文様「イルガ」は、渦巻きやハート形に見えるパターンが特徴的。衣服やバッグなど布製品だけでなく、木製の食器などにも文様が施されています。かつてはアザラシなどの毛皮に身を包み、めぐる季節とともにトナカイを連れ、海と山とを移動しながら暮らしていた民。その手工芸品からは、環境の変化にやわらかに順応していくウイルタの智恵が感じられます。
本展では、北海道立北方民族博物館が所蔵するイルガが施された衣服、靴や籠などのほか、暮らしをおさめた映像など約50点を展示。講演会・講習会などの関連イベントも合わせ、ウイルタの手しごとと生活を紹介します。
※シリーズをまとめた特集ページ「クラシー&カワルンと巡る、7つの海と手しごとに触れる旅」もぜひご覧ください。
●関連イベント
1.上映&講演会「網走に暮らしたウイルタ」
10月13日(月・祝)10:30-12:30 5階セミナールームAB
網走に暮らしたウイルタ・北川アイ子さん(1928-2007年)を取材した映像の上映を交え、生前親交の深かった北海道立北方民族博物館の笹倉いる美さんに講演いただきます。あわせて、イルガの切り紙も体験します。
講師:笹倉いる美(北海道立北方民族博物館 学芸主幹)
《上映内容》「北海道・網走で ウイルタ北川アイ子さんの記録」(1997-98年撮影/45分)
定員:申込先着50名 参加費:700円(ロシアの紅茶とお菓子つき)
申込:下記の申込フォームまたはメールで(info@setagaya-ldc.net へ氏名、電話番号、イベント名を明記)、もしくは電話(03-5432-1543)で生活工房まで。
2.記録映像上映「サハリンのウイルタを訪ねて」
10月25日(土) *1日3回上映 12:00-12:50/14:00-14:50/16:00-16:50 4階ワークショップB
国立民族学博物館監修・札幌映像プロダクション製作の記録映像を上映します。
《上映内容》「ウイルタの伝統舞踊」(1990年撮影/約14分)「ウイルタのトナカイ飼養」(1990年撮影/約16分)「ウイルタ族の料理」(1992年撮影/約14分)
定員:各回当日先着50名 参加費:無料 申込:不要。直接会場へ。
3.講習会「ウイルタ刺繍のコースター/オーナメント」
11月1日(土)13:00-16:00 4階ワークショップA
ウイルタ刺繍の基本を学んだあと、コースターまたはオーナメントに仕立てます。チェーンステッチを練習してから参加されるとスムーズです。
講師:ウイルタ刺繍サークル フレップ会
定員:抽選20名(申込締切=10月20日必着)
参加費:2,000円(材料費込み)
申込:締切日までに下記の申込フォームから、またはメール(info@setagaya-ldc.net)もしくは往復はがき(氏名、電話番号、イベント名を明記)で〒154-0004 世田谷区太子堂4-1-1 生活工房「ウイルタ」係まで。
*上記イベントの日のいずれも11:00-17:00に、イベント会場受付にてウイルタのお守り人形をモチーフにした「セワポロロ」などの販売を行います。
*ウイルタ刺繍講師のフレップ会のみなさんによる作品を、展示会場近くの階段吹き抜けに展示予定です。あわせてご覧ください(祝日を除く月曜はご覧いただけません)。
特別協力=北海道立北方民族博物館
協力=セセン設計所/フレップ会/大広民芸店/世田谷文学館
映像協力=(財)宮本記念財団 、ヴィジュアルフォークロア
後援=世田谷区/世田谷区教育委員会
イラスト=塩川いづみ
デザイン=大西隆介(direction Q)